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【2月】
チョコレートのように甘くはない!?
知られざる「バレンタインデー」のルーツ。

【第12回】チョコレートのように甘くはない!?知られざる「バレンタインデー」のルーツ。

元々はキリスト教の歴史に由来した西洋の行事でありながら、日本では独自の発展を遂げ、「女性から男性にチョコレートを贈る日」として定着したバレンタインデー。その起源を辿ってみると、古代ローマ帝国の時代まで遡ります。

聖バレンタインは殉教したキリスト教司祭の名

そもそもSt.Valentine’s Dayの「バレンタイン」とは、紀元3世紀にローマで殉教したキリスト教司祭・バレンティーノの英語名が語源となります。
3世紀当時のローマ皇帝・クラウディウス2世は、愛する者を故郷に残して戦地へ赴く兵士がいると士気が下がり戦意が弱まると考え、ローマでの兵士の結婚を禁じていました。バレンティーノはそんな若者たちを哀れに思い、密かに結婚を取り持っていたのです。それが皇帝の知るところとなり、バレンティーノは処刑されてしまいました。その日こそが269年の2月14日だったのです。

2月14日はくじ引きで交際相手を決める日!?

もともと古代ローマでは、毎年2月14日に豊穣の神を祀る行事「ルペルカーリア祭」が行なわれていました。その日には未婚の女性たちの名前が書かれた紙を集め、箱に入れられます。そして翌日には男性たちがその紙を引いて、紙に書かれた名前の女性とカップルになり付き合うという伝統的な風習があったのです。また翌年になると、同じようにくじ引きをし直すというものでした。

ところが496年の頃、当時の教皇はこの風習が若者たちの風紀の乱れにつながると考え、祭りを行なうことを禁止。2月14日をキリスト教の聖人を奉る日に改めました。そして約200年前に愛し合う男女を結婚させることに尽力して殉教した聖人・バレンティーノが新しい行事の守護聖人とされ、信仰の対象となったのです。

その後、キリスト教ではこの日をSt.Valentine’s Dayとして、互いにカードや花束などを贈り合うようになったとか。

それにしても「くじ引きで交際相手を決め、毎年相手を変える」という古代ローマの恋愛事情には、現代人の私たちもちょっとビックリですね。もしもこんな風習が現在のバレンタインデーでも続いていたら…あなたは参加しますか?


※この記事は、2017.02.01に掲載されました。